2022年11月24日

2022年11月の短歌

◇坂を上るときには歩調が遅くなる歳を重ねたわが盲導犬  (真中朋久・選)
(さかを のぼる ときには ほちょうが おそく なる としを かさねた わが
 もうどうけん)

◇リボン付けるも遠慮していた嫁のわれレモンカラーのスカーフを巻く  (小池光
・選)
(りぼん つけるも えんりょ して いた よめの われ れもん からーの す
かーふを まく)
<選評> むかしのお嫁さんはちょっとしたおしゃれさえ慎んだ。いまは老境に自由
に服装を楽しむ。世の中がこうなるのに何十年か過ぎた。

◇腕の中のふわりと温いこの孫を一瞬だけでも見せて神様  (小池光・選)
(うでの なかの ふわりと ぬくい この まごを いっしゅんだけでも みせて
 かみさま)
<選評> 作者は目の不自由な方。生まれたばかりの孫を抱かせてもらう。一瞬だけ
でもわが目で見たい。神様、という祈りの言葉がなんと切実なことだろう。
 
posted by 里枝子 at 21:50| Comment(0) | 短歌

2022年10月27日

10月の歌

盲導犬と甘き香りを吸いおれば「ポポーが熟しました」と教えてもらう  (道浦母
都子・佳作)
(もうどうけんと あまき かおりをすいおれば ぽぽうが じゅくしましたと お
しえて もらう)

太腿に縦の傷跡 下腹に横の傷跡 撫でていとおし (真中朋久・入選)
(ふとももに たての きずあと したばらに よこの きずあと なでて いとお
し)

「かたっぽのえくぼあげる」とほっぺたをくっつけあったテーちゃんとわれ (小池
光1席)
(かたっぽの えくぼ あげる」と ほっぺたを くっつけあった てーちゃんと 
われ)

<選評> 子供のころの思い出。作者は両頬にえくぼがあった。
仲良しのテーちゃんはいまはどうしているだろう。
posted by 里枝子 at 20:18| Comment(0) | 短歌

2022年09月01日

2022年8月の歌


◇盲導犬の足に火傷をさせぬよう出かける前に路面に触る  (信毎歌壇 小池光・
選)
(もうどうけんの あしに やけどを させぬよう でかける まえに ろめんに 
さわる)

<選評> 暑い日には盲導犬の足裏が火傷せぬよう地面に触って音頭をたしかめると
いうのである。はじめて知った。盲導犬と一体になった作者の生活がしのばれる。

作後感
猛暑の日々。盲導犬の足裏に火傷をさせないように、朝や夕方に出かけるときにも、
必ず路面に指で触って、音頭を確かめています。

◇夜更けて森に獣の叫ぶ声狐にあらん耳を澄ませる  (米川千嘉子・選)
(よる ふけてもりに けものの さけぶ こえ きつねに あらん みみを すま
せる)

作後感
黒姫の宿の夜。森の奥から獣の叫ぶ声がしきりに聞こえました。おそらく狐だろうと
想いながら、じっと耳を澄まして過ごしました。
posted by 里枝子 at 08:38| Comment(0) | 短歌